火曜日、いつもと違うお客様がご来店。私はちょうど外にいて今井嬢から
「金沢のなかまちさんが見えられました」とメールが入ってびっくり仰天。
「きゃー!すぐに帰る」とあわてて戻りました。「金沢のなかまちさん」は
加賀友禅作家の中町博志先生。現在活躍する加賀友禅作家のなかでも
もっとも有名な作家の一人で、先生の作品も、姿勢もリスペクトしているものですから。
ご縁があって、先生の工房にはこれまでに2度訪問させていただきました。
昨年うかがったときに本を制作していることをお話ししたので、
過日、拙著2冊をお送りしたのですが、そのお礼でいらっしゃったとのこと。
感激でびっくりでした。
10年ほど前、石川県立美術館の常設展で先生の作品を拝見しました。
それまで加賀友禅と言うと、小さな秋草が描かれた典型的な加賀友禅の
イメージで見ていたので、美術館に飾られていた先生の作品には驚きました。
大きな牡丹の花がびっしり描かれた大胆な作品で、
「私の知っている加賀友禅とは違う」と焦りました。
私は加賀で生まれ育っているので、子供のころから身近に加賀友禅が
あったのですが、ちまちました絵が描かれた「退屈な着物」だと見ていました。
大人になってアンティーク着物を知って、現代の着物と違って個性的!と
思っていたのですが、先生の作品を見て、
「加賀友禅をなめててゴメン!」と反省した、それが先生の作品との出会いでした。
昨春、着物デザイナーの芝崎るみさんと金沢に行った時、
先生の作品を見せたくて石川県立美術館に行こうとしたのですが、
改装のため閉館中。仕方がないので近くにあった観光用の加賀友禅の工房に
行ったのですが、しばさん、気に入らないご様子。
「全然だめ」てな感じ。郷土愛もあり、先生の作品を見せたい!ということもあり、
急に知り合いの連絡先を探して「先生の工房を見学に行きたい」と頼んでみたところ、
うかがえることに。一緒に見に行ったしばさんも「すごいすごい!」と興奮し、
先生のお話に我々二人涙腺をゆるめて、「先生の作品を東京で見ることが
できるといいね」と帰ってきました。失礼ながら、いなかの大人って、
ぬるま湯の中にいて保守的だと思っていたので、先生の姿勢には感激でした。
業界的に考えると、加賀友禅は厳しい状況なのだそう。
たぶん、着物を地場産業としている地域はどこも苦しいのだと思います。
先生も今は「なかなか手が打てない」とおっしゃっていました。
でも、業界的保護政策が実はその業界の首を絞める、、、その傾向も否めません。
みんな、ものを考えなくなるしね。
私が属しているのはリサイクル着物の世界で、呉服業界とは微妙に違う立ち位置です。
いっしょにやれることは限られている、、、、でも、なんかできるんじゃないの?
それ以来少し考え中です。