中町先生の工房へ
先週、久しぶりに金沢へ。
友禅作家中町博志先生の工房に伺ってきました。
ちょうどお弟子さんが描いた下絵を
チェックされている最中で大きな牡丹が
びっしりの振袖や、先生曰く「普通の菊」、でも、
普通じゃないダイナミックな菊の訪問着の下絵を
見せていただきました。
ちなみに、実はその着物、昨年、ノーベル物理学賞を
受賞された京大名誉教授益川敏英博士(「全然うれしくない!」とか
言っていたかわいいおじいちゃん)のご夫人が授賞式で着用したものと
同じシリーズ。授賞式出席のためにご購入されたよう。
いつも先生の工房にうかがって、お話をするたびに
やさしいしゃべり方ながら、強い姿勢に驚かされます。
一緒に行った友禅の彩色職人さんが下請けで
安い仕事を受けているというと、
「そんな仕事を受けちゃだめだ!」と先生。
職人が安い賃金でも制作を受ければ、
問屋は今のシステムを続けるけど、流通のシステムを
変えるためには問屋をなくさなきゃだめだ、ということと、
プライドを持って仕事をしなさい、ということだと思います。
着物は流通がまだまだややこしい。
先生のような作り手からいくつもの問屋を通って、
呉服屋さんに行くので、値段はどうしても高くなるし、
問屋さんはユーザーニーズというより流行っている(ように感じる)ものを
作り手に求める傾向もあるし、着物への愛をもって注文しているわけではないので
世の中に出回るものがほとんど同じになってしまうのだと思います。
加賀友禅は小さな秋草がたくさん描かれた凡庸な着物なのではなく、
問屋からのニーズや、ついその要求に合わせてしまう作り手が
凡庸な着物を作り出しているともいえるわけです。
まぁ、Ponia-ponは古い着物ばかり扱っている店ですから
私はあくまでも「外野」なのですが、外野としてやれることは
着物人口を絶やさないように、着物のキュートさを知ってもらうこと。
若い世代が「着物ってかわいい!」という土壌をつくっておくこと。
ときどき帰省で金沢の着物業界に触れながら、
いろいろなことを考えさせてもらっています。
(写真は九州での展覧会に展示した独活の柄の訪問着など)
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